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ベイカーロシアンカーフ

イギリス ベイカー【ベイカー社】

ベイカーロシアンカーフ

ベイカーロシアンカーフは、20世紀初頭まで帝政ロシアで生産されていたロシアンレザーを参考にして作られた牛を原皮にした皮革です。一方、元ネタとなったロシアンレザーは仔牛やトナカイなどを原皮にした皮革で、18世紀のヨーロッパでは非常に珍重されましたが、20世紀に入りロシア革命が始まると、その動乱の中で製法の詳細が記載されたレシピの存在が不明となり、幻(まぼろし)のレザーとなります。ところが、1970年代初め、18世紀末にサンクトペテルブルクからジェノバに向かう途中のイギリス南西沖で沈没した船の中から、このロシアンレザー見つかったことで、その存在が再び注目を集めることになります。200年にも及び海底に沈んでいたにも関わらず、革の状態は非常に良好だったそうです。水にも強いと言われたロシアンレザーの耐久性や耐腐性の高さやが、思わぬ形で証明されることにもなりました。長らく製法が不明だったロシアンレザーですが、海底で発見された革を基に、その製法を紐解くプロジェクトが始まります。この時重要な役割を果たしたのが、先にご紹介したベイカー社でした。1862年創業のベイカー社は、ローマ時代から脈々と受け継がれた革に対する知見と製法により、ロシアンレザーをロシアンカーフとして現代に復活させることに見事成功したのです。

 

ベイカーロシアンカーフはフルグレインブライドルレザーと同様に長期間じっくりと鞣され、十分な加脂を皮革内部まで浸透させることで、高い弾力性を伴いながらも、力強いハリ感を備えています。また、表面には縦横に走るシボと所々にブルーム(白いロウ分)もこの革の大きな特徴です。さらに特筆すべきは、ベイカーロシアンカーフが、ウィスキーや葉巻にも似た独特の香りを持つ点です。とても不思議な香りですが、クセなるような後を引く香りです。1920年代のパリでロシアンレザーが香水の名前になったことも頷けます。

ケア方法

革表面のブルームは自然にお使頂く中で落ちていきますが、衣類などへの移染が気になられる方はご使用前に落とされることをお勧め致します。落とし方はまず馬毛などのブラシで全体に円を描くようにブラッシングしてください。ある程度落ちましたら、仕上げにネル素材などの柔らかい布で力を入れずに乾拭きを行ってください。革表面の白い粉や強い油分が取れ、透明感のある表情となりましたら作業は終了です。
ベイカーロシアンカーフは始めからオイルを多く含んでおりますので、基本的にクリームを塗って頂く必要はございません。ご使用頂くなかで革が乾燥してくることがありましたら、無色のクリームをごく少量布に取り、良く馴染ませ製品に円を描くように動かし塗布してください。その後、柔らかい布で力を入れずに乾拭きを行ってください。(※多量の油分はオイル染みやコシの抜け等、革の風合いを損ねる原因となりますので、過度な塗布は十分ご注意ください。)

推奨ケア用品

コロニル 1909シュプリームクリームデラックス、または プレミアムディアマント 無色(無色の靴用保革クリームでも代用可能です。なるべくロウ分の多いクリームをお選びください)

馬毛ブラシ、山羊毛ブラシ

ご注意点

水濡れについて

水染みが残りやすい素材のため、水分が付着すると顕著に水染みが残り、取り除くことが出来ません。雨天など、水濡れの起こりうる環境でのご使用はお控え下さいませ。

また多量の水分はカビの原因となり、放っておくとカビが革繊維の内側に根を張り、完全に取り除くことが難しくなります。万一濡れてしまった場合は、すぐに乾いた布で拭き取り、陰干しをしてください。(※ドライヤーや日光に当てるなどの急速乾燥は、革の風合いを損ねる原因となりますので、くれぐれも行わないようお願い致します。

 

防水スプレーについて

使い方によっては染みや色ムラ、曇りなどが発生する可能性がございますので、ベイカーロシアンカーフに対してのご使用はお勧めしておりません。

 

汗について

汗に含まれるアンモニアは艶を消し、状況によっては表面に「ブク」と呼ばれる水膨れを作る可能性があります。ブクは修復することが出来ませんので、夏場に長時間ズボンのポケットに入れてのご使用はなるべくお避けください。ご使用中、多量の汗の染み込みを感じられましたら、固く絞った布で水拭きし、その後柔らかい布で乾拭きしてください。乾拭きを終えてもカサつきや曇りを感じましたら、製品が完全に乾いた後でクリームを全体に薄く塗布し、柔らかい布やレザーグローブ等で力を入れず乾拭きをしてください。

 

移染につきまして

ベイカーロシアンカーフは革繊維と色素との結着が弱い為、色移りや色落ちがしやすいレザーです。衣類と強い摩擦が生じますと色移りの可能性がございます。
また汗や雨などによって製品が湿っている状態ですと、比較的弱い摩擦でも色移りいたします。白色などお色味の薄いお召し物には十分ご注意ください。また、長時間紫外線に当てますと退色・変色の原因となりますので、十分にご注意ください。

 

 

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