BLOG

新型トートバッグ・Barrel Toteについてのお話

SHARE

先日、靴職人の福田洋平氏とのコラボレーション企画としてカードケース・SHEPARD IIを発売致しました。 その際にも少し触れましたが、同時にもう一つの福田洋平氏とのコラボレーション企画として新型のトートバッグの開発を進めておりました。 そのバッグが今回ようやく完成し、発売が決定致しましたのでここでご紹介をさせて頂きます 。

 

まずは今回の企画にご協力下さった福田洋平氏についてご紹介をさせて頂きます。

 

1980年、富山県生まれ。高校卒業後に英国の靴の職業訓練学校であるTresham Instituteにて靴作りのノウハウを学んだ後、John Lobb Paris、Edward Green、Church’s、George Coxでの研修を経てJohn Lobb Londonのビスポーク靴職人、イアン・ウッドに弟子入り。英国の伝統技術であるHand Sewn Welted(ハンドソーンウェルテッド)といったボトムメイキングを習得、卒業後はGeorge Cleverleyでリペア、Edward GreenとGaziano & Girlingでボトムメイキング(ソール部分の作成)を担当、2008年にヨウヘイ フクダ(Yohei Fukuda)立ち上げられました。

「The Art of Shoemaking」をモットーに作り出されるYOHEI FUKUDAの靴の数々は多くの靴好きを魅了し、現在では世界中に顧客を抱えています。

 

福田氏にはこれまでもブリーフケースやロングウォレット、先日はカードケース・SHEPARD IIを発売するなど、WILDSWANSとは何度もコラボレーション企画にご協力を頂いています。

そして今回はこの福田氏とWILDSWANSが協力し、「上質な道具」をコンセプトに新たなトートバッグ・Barrel Tote(バレルトート)を開発致しました。

 

「上質な道具」とはなにか。

優れた道具は目的の用途を果たすことに役立ち、且つ使いやすさや耐久性の高さが求められます。 そこに素材の組み合わせや精巧な作りを加えることで、質が高く道具としても強いものが生まれることになりますが、全ての要素を盛り込むということは極めて困難な課題になります。

 

今回ベースになったのは英国では普遍的な形状・サイズのトートバッグで、福田氏が修業時代に英国で愛用されていたのも丁度そんな生地製のトートバッグであったそうです。「モノを運ぶための道具」として作られているため、作りは簡素ながら長い間使い続けられる頑強さも持ち合わせていたとのこと。

英国への郷愁も感じさせるこのオーソドックスなトートバッグに更に上質さを加え、シューメイカー・福田氏の理想に近づけたモデルがBarrel Toteです。

シンプルで上質、どんなシーンにもご使用頂ける汎用性の高い道具として、手間と技術を惜しみなく注ぎ込んだ渾身の一品になります。

 

このアイテムの製作に当たったのはWILDSWANSの第二のアトリエとして昨年5月に誕生した新たな製作拠点、WILDSWANS東京アトリエです。 福田氏から様々なご意見、アドバイスを頂きながら何度も試作を繰り返してようやく形になったBarrel Toteですが、目の肥えた世界中の顧客を満足させる技術を持ったシューメイカー・YOHEI FUKUDAだけあって当然ながら製作には高い技術を要し、それに応える職人の苦労も並々ならぬものでありました。

 

その甲斐あって素晴らしいアイテムが完成いたしましたので、ここにご紹介させて頂きます。

 

トートバッグ・Barrel Tote(バレルトート)・・・385,000円(税込)

【素材】

外装:テア/ブラック+フルグレインブライドル/ブラック

内装:ダービー/グラファイト

【サイズ】

H590mm(ハンドル、底鋲含む)×W380mm×D150mm

※皮革のハリ感などに個体差があり、各サイズに多少の誤差が生じる可能性がございます。

重量:約1500g

※こちらのアイテムは受注生産品になり、受注から3~6ヶ月後のお渡しになります。

 

ご覧の通りシンプルなデザインのトートバッグですが、その佇まいからは優雅さや品格を感じ、福田氏が靴作りにおいて追及する「最高の普通」という哲学はこのBarrel Toteにも宿っています。

 

気をてらわず道具の本質に逆らわないデザインによって、ビジネスシーンはもとより休日のお出かけにも違和感なくご使用頂ける柔軟性を持ったアイテムに仕上げられています。

それではBarrel Toteのディテールをご覧頂きましょう。

 

シンプルなデザインの胴体部、フォルムは縦長の逆台形です。

 

外装に用いられているのはフランス、アーナル社のテア (Thea)です。 テアはしなやかでしっとりとした手触りの良い質感で、馬の鞍の座面に使用されるような耐久性や摩擦への強さを持った皮革です。

表面に浮かぶ自然なシボ(凹凸)により高級感のある表情と、傷が付きにくく目立ちにくい性質を備えています。

 

胴体はがっしりしたハリの強さと、押した手を跳ね返すようなバネがあります。 テアはしなやかな革のため単体では自立するようなハリ感はありませんが、内装と外装の間にフルグレインブライドルレザーを挟み込んだ多層構造のパネルを製作し、胴部分のパーツに用いることでこのハリを生み出しています。

 

胴パーツの断面を見ると3層の構造がはっきりと分かります。

木材で言うところの合板のように、異なる素材を貼り合わせて様々な特性を得る技法を用いています。正に組み合わせの妙といったところで、正しく張り重ねることで同じ厚みの一枚革よりも張り感やコシは抜けにくく、頑強に仕上がります。

 

この多層パネル2枚を前胴パーツ、背胴パーツにそれぞれ配置し、両側面で繋ぎ合わせています。

 

Barrel Toteはマチの無い構造のため、側面の継ぎ目がバッグ全体の強度を左右する部位になります。

いわば帆船の竜骨のような構造材の役割を担うことから、その接合には高い強度と耐久性を与える目的で特殊な技法が用いられています。

 

パーツの断面同士を接着した上で、各パーツの縁の縫製同士を糸で縫い留めています。

 

革同士を縫い付けているのではなく、縫製同士をもう一本の糸で締め込んでいるという革巻きのステアリングのような方法で繋ぎ合わせています。

 

より分かりやすいサンプルでご説明させて頂くと、画像で黄色く着色されているのがそれぞれのパーツの縁を縫い留めた糸になり、中央の白い糸が2つのパーツの糸同士を引き合わせているという仕組みになります。

白い糸は革を縫っておらず、糸のみを繋ぎ合わせているのがお分かりになるかと思います。

この技法によってハリの強い2枚のパーツを頑丈な糸で強固に繋ぎ合わせられることに加え、革が折り重なる部分がないので厚みも一定のまま仕上がります。

 

胴パーツを縫い合わせた境目の上からフルグレインブライドルレザーの細長いパーツが取り付けられています。

継ぎ目の無い一本のパーツを、強く引っ張りながら縫い付けて行きます。 引っ張ることで革に張力が生まれ、硬く締まった状態で側面の強度を高めています。

 

ハンドルはフルグレインブライドルレザーの一枚革を漉かずに使用しています。 イギリス・ベイカー社のフルグレインブライドルレザーはWILDSWANSの革小物の定番素材でもありますが、革小物には用いることのない原厚(皮革を漉かないそのままの厚み)ならではのハリ感や重厚感、強度を活かしたハンドルです。

適度な厚みとハリ感によって手のひらへの馴染みも良く、また長めに仕立てているために肩掛けでもご使用頂くことが出来ます。

 

製品中最も負荷の掛かるハンドル基部は手縫いで縫製されています。ハンドルと胴部分のパーツを合わせた厚みは8mmにもなりますが、バッグの顔とも言えるような部分のために細かいピッチで仕上げられており、ドレスシューズとの親和性を図った意匠になっています。

 

 

ハンドルは内装の皮革も貫通して縫製されており、この仕様によってハンドルの交換や調整は容易に行うことが出来ます。 一枚革のハンドルは頑強で耐久性も高いとはいえ、強い負荷の掛かる部分のためにいつかは交換が必要になりますので、万一の際の修理も見越してこのように設計されています。

 

底板にはフルグレインブライドルレザー(ブラック)が使用されています。

 

厚み4mm超のフルグレインブライドルレザーに芯材を仕込み、胴部分に縫製されています。底革+胴パーツとこちらも相当な厚みになりますが、美しく、且つ強固に縫製されています。 また底部分の四隅と中央には底鋲が取り付けられており、床置きの際にも安心です。

 

本体の口元のコバです。 コバは革の断面になりますが、このコバを徹底的に磨いた後で黒色の顔料を乗せて仕上げられています。 異なる種類の皮革を組み合わせたコバを磨き切るというだけでも一苦労ですが、更にコバ部分はその後に顔料で覆われてしまうのにも関わらず、一切の妥協無く磨き上げられます。

 

口元は1点のホックが据えられています。 頑強で開閉音にも重厚感を感じるこのホックは普段WILDSWANSのアイテムには使われることの無い特殊な金具です。

 

一般的なホックは画像左のように板状の金属をプレス加工して製作されますが、今回使用している画像右のホックは金属の塊を切削して作られた”挽物”になります。

※本製品に使用されているホックはシルバーカラーのものになります。

 

最大の特徴はパーツの分厚さで、同サイズのプレス加工のホックと比較すると一目瞭然です。 バネも軸の太い強力なバネを後から組み込んでいるため、バネの強度も高く耐久性にも優れており、開閉の際にもガチリと力強い開閉音がします。

 

内装素材にはフランス・HAAS社の型押しの牛革、ダービーを使用しています。 品のある細かなシボと発色の良さが特徴のクロム鞣しのカーフ、ダービーは某大手メゾンにも供される上質な皮革で、適度なハリを持ち、傷が付きにくく付いても目立たないというユーザビリティの高い素材です。 カラーはグラファイト(黒鉛)という濃いグレーを使用しており、外装に使用されたブラックの皮革との変化を付けています。

 

内装は仕切りの無い一室構造になっており、前後にインナーポケットパーツが取り付けられています。

インナーポケットパーツは内装の口元に取り付けられており、内装の壁と並行に吊り下げられているために視界を遮らず内装が見渡せます。

 

一つ目のインナーポケットです。

 

こちらには有効サイズ約W110×H95mmのマチなしポケットが2つ並びます。

 

パーツ中央には「YOHEI FUKUDA / WILDSWANS」と2つロゴが並んで刻印されます。

 

反対側のインナーポケットです。

 

こちらには有効サイズ約W200×H150×D20mmのファスナー式のマチ付きポケットが備えられています。

 

丁寧な縫製、美しく仕上げられたコバをご覧下さい。

 

もちろんインナーポケットはしっかりと縫製されており取り外すことは出来ませんが、仮に外した場合にはそれ自体で製品として成立する程の完成度です。

 

シンプルなデザインには構造上の逃げ場が存在しないため、手を抜いた部分は違和感として容易に伝わってしまいます。 上質な道具というコンセプトを成立させるには全てのパーツを作品級に仕上げる必要があり、1つ1つのパーツが独立した美しさを持つよう、丁寧に製作されています。

 

如何でしたでしょうか。

シューメイカー・YOHEI FUKUDAとWILDSWANSのコラボレーションモデル、トートバッグ・Barrel Tote(バレルトート)のご紹介を致しました。

 

Barrel ToteはWILDSWANSの直営店である路面店のWILDSWANS銀座店とWILDSWANS Online Shopにてご注文を承っています。

WILDSWANS銀座店では実物を展示しておりますので、Barrel Toteを実際にお手に取ってお確かめ頂けます。興味をお持ち頂けましたら是非ご来店くださいませ。

 

また、今回ご紹介をさせて頂いたのはWILDSWANSで販売する仕様になり、YOHEI FUKUDAでは異なる組み合わせでの既成品の販売やパターンオーダーの受注が行われます。

 

YOHEI FUKUDAでは既成品の他、受注生産でのご注文も可能です。

画像左は既成品、画像右は受注生産品のサンプルです。

既成品の仕様は以下の内容となり、WILDSWANSで販売する仕様とは異なります。

【Barrel Tote/ver.YOHEI FUKUDA】

外装:テア/ブラック+フルグレインブライドル/ダークハバナ

内装:ダービー/ジョーヌ

 

受注生産品はハンドルの長さや皮革のカラーをお選び頂いて製作する形となり、特に皮革のカラーは豊富なバリエーションからお選び頂けるため、ご自分だけの組み合わせのBarrel Toteをお作り頂くことが出来ます。

受注生産品はYOHEI FUKUDAの店舗のみでご注文頂けます。(要予約)

 

こちらも是非ご検討下さいませ。

OTHER INFORMATION

矢印 ロード チェック 逆三角形 カート アカウント 検索 クローズ facebook facebook WEAR_ロゴ MAIL MAGAZINE_ロゴ