WILDSWANSの製品は手間を惜しまず丹念に仕上げています。
革の選定、製品に合わせたパーツの裁断、ロゴの刻印、各素材の特徴と組み立てを見極めた漉き(すき)、コバの形成。さまざまな工程の中から、今回は優しい丸みの「コバ仕上げ」についてご紹介いたします。
縫製を終えた革の断面(コバ)は角張ったまま。ここからWILDSWANSらしい「丸みのあるコバ」を形作るため、丁寧に削り作業を重ねていきます。スポンジ状のヤスリに革を当てると削られた革ならではの香りがほのかに漂います。ヤスリでの整え方は5段階あり、最初の段階でおおまかに輪郭を整え、ヤスリの番手を細かく変えていきながら徐々に角を落とし、丸くなめらかに整えていきます。革の種類や厚みごとに手加減を変える必要があるため、角度ひとつ、力加減ひとつで仕上がりが大きく変わる、経験が物を言う工程です。
形を整えた後は「目止め」と呼ばれる作業へ進みます。WILDSWANS製品では黒い染料を入れて艶を出す場合や、あえて染料を使わない「素磨き」で自然な風合いを残すこともあります。指先に伝わるわずかな凹凸を探りながら磨き上げ、納得できなければ再びヤスリ工程からやり直します。その繰り返しの先に、美しく優しい丸みが生まれます。コバの丸みは職人の精度と感覚が折り重なって完成するものです。
次回のこだわり紹介もお楽しみに。