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【#0235】革製品の保護・保管について 6

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※こちらは2010年2月に更新されたアーカイブ記事です。
記事内に掲載されているアイテム、及び発売予告などの記述に関しましては過去の記事となりますので現在はお取扱いを行っていなかったり、また既に完売となっているものもございますこと、予めご了承下さいませ。

 

 

引き続き、革の持つ特性に付いてのご説明です。

 

 

こちらは③革を全体的に起毛させたもので、スエード、ヴェロア、ヌバック等の種類があります。C.O.U.では国産のスエードやヌバックなどを鞄で使用しています。

 

革の表面であるギン面を起毛させたものがヌバックで、革の裏側のトコ面を起毛させたものがヴェロアやスエードと呼ばれています。

(中でもトコ面の方を起毛させた革は、一般的には毛足が長いとヴェロア、短いとスエードと呼ばれますが、明確な定義は無いようです。)

 

この起毛させた革の最大の特徴は、何と言っても通常の革では得られない手触りの良さにあります。起毛させていることによりベタ付かず、柔らかで滑らかな手触りは温もりがあり、上品さも兼ね備えているのでとても魅力的な革の1つです。

 

この種の革の特徴としては、起毛させた独特の手触りを確保する為に顔料処理や表面をコーティングすることが出来ず、必然的にほぼ全ての革が染料仕上げとなります。前回も申し上げた通り染料の成分は顔料とは異なり、紫外線による変色・退色や色落ちする可能性が高いのが特徴で(水分も放って置くとジュワっと染み込んでいきます。)、また細かい毛足は埃を吸着し易いという性質もあります。

 

こう書くと良い事が無い様に聞こえますが、言い換えると経年変化し易い風合い重視の革ですので、使い込む程にいい味が出てきます。(後々触れますが、適切なケアさえすれば楽しくお使いいただける革です。)使い込んだスエードのヤレ感はとても味があって魅力的ですし、ヌバックの場合は使い込むと革の繊維が寝てきて光沢も上がってくるので、劇的な変化を楽しむことが出来ます。

 

 

次に④型押しの革ですが、型押し加工と言っても、こちらも植物性のタンニンで鞣された革とクロームで鞣された革とに分かれます。

 

C.O.U.で扱っている鞄では前者となり、イタリアのブッテーロにメッシュの型押しを施した革を使用しています。

 

植物性タンニンで鞣された革の特性に付いては①をご参考にしていただきたいのですが、スムースの革との決定的な違いが幾つかあります。

 

スムースの革の場合、自然の風合いを大事にした革ですので使い込めば大小の傷は避けられませんが、型押し加工を施すと傷が付きにくい・目立ちにくいという利点が挙げられますので、普通にお使いいただいても傷を気にすること無くエイジングも楽しめます。

 

また、雨等で濡れた場合はスムースの革ですと革の歪みが目立ち易いのですが、型押し革の場合は模様により目立たないので殆ど分かりません。(革の繊維の力より、型押しの圧力の方が強いのかも知れません。)

 

ただ、型押しによる凹凸の差が激しい程、表面積は大きくなる訳ですから水分を吸収し易いという面もありますので、濡れた場合は水分をよく抜かないとカビが発生する可能性が高くなります。言い換えると、水気さえ気を付ければ傷が付きにくい上に光沢も上ってエイジングしてくれる、とても面白い革です。

 

続きます。

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