※こちらは2009年09月に更新されたアーカイブ記事です。
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ガルーシャは少し変わった風合いの上がり方をしますが、その続きです。
上の写真のガルーシャの色は元々はネイビーだったのですが、経年変化により徐々にセピア色に変わりつつあります。水玉模様もネイビーに変色していくのかと思いきや、そうではありませんでした。
ガルーシャの場合、経年変化を感じるまでには牛革よりも長い年月を必要としますし、またどのように変化していくのかも分かりませんので、これから先どうなっていくのか非常に楽しみです。
陶芸(唐津焼、萩焼などに顕著に見られますが)の世界では貫入(かんにゅう)と呼ばれるひび割れ模様があります。これは器本体の素地と釉薬との収縮比率の違いから生じる表面のひび割れのことですが、有田焼などの磁器に関しても見えないだけで全ての器に入っているものです。
中国青磁のように、貫入を際立たせる為に墨を入れ込むものは別として、長い間使っているうちに茶渋などが入り込んだりして(全ての焼き物ではありませんが)貫入が際立ち、何とも言えない味が出てきます。それだけではなく、器全体の色も光沢も徐々に変化し風格が出てくるのですが、ガルーシャの経年変化の仕方は渋いという点で、貫入が顕著に見られる唐津焼や萩焼の経年変化と良く似ています。
このアジェンダカバーは裏と表とでは風合いがまったく異なります。紫外線による退色だけではない経年変化によりこの様な風情になったのですが、必ずしもこうなるとは限りません。
使う人の使い方によって、また使う人の意志とは別に、様々なパターンでゆっくりと変化していきます。言い方を変えると、あまり思い通りになってくれない革です。
高価な抹茶碗や古唐津だけが風格を持つのではなく、普段使っている湯飲み茶碗でも何でもそうですが、長い間使い込めば風合いは変わっていきますし、その人の個性が表れたり思い通りになってくれなかったり様々です。
ガルーシャも無理にエイジングさせずに、ただ普通に使った方が面白いと思います。普通に使い、育てたものは何れにせよこの世に2つと無いものになるからです。長い風雪を経て風格を増す器のように、ガルーシャもまた気長に付き合っていける素材ですので「気付くとこんなに変わっていた」という位の心持ちで良いのだと思います。
こちらはガルーシャで作ったコサージュです。FABRICというブランドのもので、キラキラと輝く様はとても美しく幻想的です。(これを作れる職人も殆どいないので大変貴重なアイテムです。)
他の革と同じく、ガルーシャも作り方次第・使い方次第で大きく印象が変わり、風合いも異なる革です。キラキラとした鮮やかなアイテムの時期もあったり、渋く存在感を示す時期もあり、変化の仕方が特異でとても面白いです。また堅い様な柔らかい様な質感も独特です。
つくづく唯一無二の不思議な革だと思います。
それでは。