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【#0081】革の2つの鞣し方について

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※こちらは2009年5月に更新されたアーカイブ記事です。

記事内に掲載されているアイテム、及び発売予告などの記述に関しましては過去の記事となりますので現在はお取扱いを行っていなかったり、また既に完売となっているものもございますこと、予めご了承下さいませ。

 

植物性タンニンで鞣された革と、硫酸クロームで鞣された革についてのご説明です。

 

世の中には様々な革があります。柔らかい革、硬い革、スムースの革、型押しされた革、エイジングする革、しない革など、実に多種多様な革が身の周りに存在します。上の写真はミネルバリスシオで作った、小銭入れのPALMです。  

エイジングのスピードが早いスムースの革の代表格です。スタッフが今も使用しているものですが、既に何年も使い込んだような風合いになっています。

 

約半年間ヒップポケットでの使用で、ペタンコです。  

以前に少し触れましたが、大別すると革の鞣し方には2種類あり、1つは植物等から抽出されたタンニン(シブ成分)で鞣す方法と、もう1つは鉱物から精製されるクローム化合物によって鞣す方法です。  

前者は時間と手間がかかるので、比較的高価な革が多いです。傷も付きますし、水にも強い訳ではありませんが、使い込んだ時の風合いは大変迫力があります。初めは硬くても徐々に馴染んでいくという、エイジングを楽しめる、昔ながらの革らしい革です。  

一方のクロームによって鞣された革は、鞣しの工程時間がタンニン鞣しに比べて短縮されるため、一般的にはリーズナブルな革が多いです。(但しピンからキリまで在りますが・・・。)  

風合いは殆ど変わりませんが、耐久性に優れていて、傷にも比較的強いです。C.O.U.で扱っているクロームの革といえばドイツのぺリンガー社のシュリンクカーフや、フランスのデュプイ社のチェルケスというカーフなどがあります。両方ともリーズナブルとは言えない高価な革です。

 

上がシュリンクカーフで、下がチェルケスです。

 

クローム鞣しの革は、鞣し剤に三価クローム塩を主成分とする、塩基性硫酸クローム溶液を使用します。

 一説によるとこの鞣しの原型は、1800年代中頃に重クローム酸塩と塩酸によって処理する二浴法が実用化されたことに始まるそうです。その後、様々な試行錯誤と、幾つかの戦争による技術の向上により今日に至る訳ですが、丈夫で長持ちする革が生まれる背景には、先人達の並々ならぬ苦労と知恵と努力が詰め込まれています。それはタンニンの革もクロームの革も同じです。  

 

どちらの方が良い革なのか、と時々お問い合わせがあります。  

こればかりは一概にどちらの方が優れているかとは勿論言いきることが出来ません。使用目的や好みによるところも大きいので、本当に甲乙付けがたいです。(ただ、C.O.U.で扱っているどちらの革も、自信を持って素晴らしい革だと言えます。)  

最後は好みなのでしょうか。  

 

そもそも革の良さとは何なのかをずっと考えているのですが、まだ答えが出ていません。革ならではの魅力とは一体何なのか・・・。  

また暫く自問自答の日々が続きます。

 

ではまた。

 

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