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【#0025】Tさんの財布 3

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※こちらは2009年2月に更新されたアーカイブ記事です。 記事内に掲載されているアイテム、及び発売予告などの記述に関しましては過去の記事となりますので現在はお取扱いを行っていなかったり、また既に完売となっているものもございますこと、予めご了承下さいませ。

 

どんな風に育つかは、誰にも分かりません。

上の写真がTさんが現在も使用中のもので、下の写真が新品の状態です。

 

以前に、サドルプルアップのブラックで作った名刺入れを10年間使用した写真をお見せしたかと思いますが、同じサドルプルアップでも、チョコレート色を10年間使用し続けると、このような風合いになのか、と思いました。

Tさんの財布の革は、今も呼吸をしながら生き続けています。

財布もまだ破損していません。  

私はサドルプルアップという革が今も生き続けていることを目の当たりにし、その革を使い、自分達がすべきことと言えば何なのかを、ボーっと考えていたのですが、それは「本物の道具作り」というWILDSWANSの初心であることを思い出しました。  

高価な素材を使おうとも、嗜好品と言われようとも、どこまでいっても自分達が作るものは「道具」だと考えていると、それをあらためて思い出しました。

せっかく革が生き続けているのに、作りが悪かったら道具としの寿命は短くなってしまいます。Tさんの財布の革を見て、革の寿命を活かすような作りの良さこそがWILDSWANSの、もの作りの本懐であることを思い出しました。  

つまりは、私はどこかで忘れていたということです。  

何となく「こんなものだろう」と、流して仕事をしていたのかも知れません。  

WILDSWANSの10年間を考えながら、一部分恥ずかしくなり、イカン・イカン、と下を向いていました。10年生きているサドルプルアップを見ながら、初心とは他者から教わるものなのかな、とちょっと反省しました。  

あと、「こんなものだろう」と接客するよりは、まだユラユラと間合いを図ってドキドキしている方がましなのかな、と少しだけ思いました。

 

少しだけです。少しだけ。 Tさんの財布を見てからの私の中での宿題として、革の良さとは一体何なのかを今も考え続けている最中です。何故革でなければ駄目なのか、何故他のマテリアルでは物足りないのか、をです。その答えはまだ出ていません・・・。

 

それでは。

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